赤字体質の決算書の特徴
粉飾の順番
簡単に黒字決算にするなら、赤字にならないように架空売上を計上するだけです。
しかし 架空売上を行うのは後ろめたさや、色々な思惑からできうる限り合法に近い方法
を考えます。
(1) 交際費の取消し
会社の状態が良く、売上が伸びているような場合には、税金を少しでも払いたくないのか?
少しずつ気が大きくななりますので交際費が増えます。
中小企業の場合 交際費は 社長個人の負担すべき支出が含まれています。
会社の成長期に増えた交際費についても、会社衰退期になっても止まることはありません。
そこで 社長は自分が負担すべき交際費を100万円だけ認めたりして交際費を取消します。
交際費の取消し部分は 架空現金が増えたり、社長の使い込みとして 役員貸付金が増えます。
現金 叉は 役員貸付金 100万円 / 交際費など 100万円
(2)地代家賃の取消し
社長個人の不動産を貸付けている場合には、会社と個人の税金のバランスと役員報酬に対する
社会保険料を少しでも軽減する為に 地代家賃をできるだけ多く取っています。
(会社の景気が良いときのパターンですね。)
そこで 赤字決算を防ぐためにと社長個人の所得税の減少させることを目的に、期首に遡って
地代家賃を取り消したりします。
地代家賃を取り消すと役員貸付金が増えます。
期首に遡って全額の地代家賃200万円を取り消しました。
役員貸付金 200万円 / 地代家賃 200万円
(4)支払保険料の資産計上
会社は 社長の万が一の事態と社長の退職金の積立て目的で生命保険など加入しています。
半分は損金で 半分を保険積立金にするパターンが多いですが 税法上損金が認められているにも
かかわらず、全額を保険積立金で資産計上したりします。
ここからは 粉飾決算の始まりです。
保険積立金 100万円 保険料 100万円
(5)棚卸資産の評価の水増し
儲かっていり会社は 極力 在庫の金額を少なくして、利益を圧縮していますが
会社の状態が悪くなると 在庫の金額をできるだけ見積もり
最終的には 過剰な在庫の金額となります。
(6)架空売上
いろいろ合法的な方法と社長が思い込んでいる方法も手を尽くすと
架空売上を計上します。
売掛金 300万円 / 売上 300万円
(7)さらに架空資産計上
工場の経営者の場合などは材料費や労務費 製造経費などを減らして 内部造作して架空資産を
計上したりします。
機械装置 300万円 / 材料費 労務費 製造経費 など 300万円
増え続ける架空現金や役員貸付金を消すために架空資産を計上したりもします。
(1)から(7)に至るまでの間に 4年から5年かかります。その間に 役員報酬を減額していきます。
会社の悪化の兆候は 役員報酬の減少と地代家賃の減少に始まり在庫の金額が増加し始めたら
黄色信号です。
さらに進んで 架空資産の計上がすすむと 売掛金の数値も増加するので
回転期間や売上原価率にも表れますが もう時は遅し 倒産寸前の状態です。